アーユルヴェーダの中心概念にダートゥ(dhātu、要素)と呼ばれるものがあります。
これにはヴァータ(vāta)、ピッタ(pitta)、カパ(kapha)に三つがあり、身体を含むあらゆるものはこれらの三つの要素からなっていると言われています。
これらの調和が乱れると病気の原因ともなるのでドーシャ(doṣa、病素)とも呼ばれています。
病気にならないために、つまりドーシャを増やさないようにするためには、自分の体質を知ること、そして自分に過剰になっているドーシャを増やさないような食事が大切となります。
以下で、それぞれのダートゥの性質、そしてそれに沿った食物のガイドラインを学び、皆さんの健康な食事に取り入れてみてくださいね。
Vata(ヴァータ)
「空+風」の元素からなるダートゥ。
その性質は「乾燥(rūkṣa)、軽(laghu)、冷(śīta)、荒(khara)、微細(sūkṣma)、動(cala)」です。
果物
Good!
- 甘い果物
- さくらんぼ
- ぶどう
- パイナップル
- メロン
- マンゴー
- オレンジ
- 桃
- パパイヤ
Bad…
- ドライフルーツ
- りんご
- クランベリー
- なし
- 柿
- すいか
野菜
Good!
- 調理野菜
- アスパラガス
- にんじん
- きゅうり
- にんにく
- いんげん
- オクラ
- 玉ねぎ(調理)
- じゃがいも(甘)
- ズッキーニ
Bad…
- 生野菜
- ブロッコリー
- キャベツ
- カリフラワー
- セロリ
- なす
- レタス
- マッシュルーム
- 玉ねぎ
- じゃがいも
- ほうれん草
- トマト
穀物
Good!
- 米
- 小麦
Bad…
- 大麦
- そば
- とうもろこし
- オート麦(乾燥)
- ライ麦
動物性製品
Good!
- 牛
- 鶏、七面鳥
- 卵(焼いたもの)
Bad…
- 豚
- ウサギ
- 子羊
- 鹿
豆類
Good!
- 豆腐
- 黒か赤のレンズ豆
ナッツ
Good!
- 少量ならよい
甘味料
Good!
- 上白糖以外
乳製品
Good!
- 適量なら良い
脂肪
Good!
- すべて良い
Pitta(ピッタ)
「火+水」の元素からなるダートゥ。
その性質は「潤(sneha)、激(tīkṣṇa)、熱(uṣṇa)、軽(laghu)、流動(drava)、液(sara)」です。
果物
Good!
- 甘い果物
- りんご
- マンゴー
- メロン
- パイナップル
- なし
- プルーン
Bad…
- 酸味のあるもの
- ベリー類
- バナナ
- オレンジ
- さくらんぼ
野菜
Good!
- アスパラガス
- ブロッコリ
- キャベツ
- きゅうり
- カリフラワー
- セロリ
- いんげん
- レタス
- マッシュルーム
- オクラ
- エンドウ豆
- じゃがいも
Bad…
- にんじん
- なす
- にんにく
- 玉ねぎ
- ラディッシュ
- ほうれん草
- トマト
- 辛い野菜
穀物
Good!
- 大麦
- 米
- 白米
- 小麦
Bad…
- そば
- とうもろこし
- 玄米
- オート麦(乾燥)
動物性製品
Good!
- 鶏、七面鳥
- 卵白
- ウサギ
- エビ
Bad…
- 牛
- 卵黄
- 子羊
- 豚
- シーフード
豆類
Good!
- レンズ豆以外すべて
ナッツ
Good!
- ココナッツ
甘味料
Good!
- 蜂蜜、糖蜜以外
乳製品
Good!
- カッテージチーズ
- 牛乳
- ギー
Bad…
- バターミルク
- チーズ
- ヨーグルト
脂肪
Good!
- ココナッツ
- オリーブ
- ひまわり
- 大豆
Bad…
- アーモンド
- とうもろこし
- 紅花
- ごま
Kapha(カパ)
「水+地」の元素からなるダートゥ。
その性質は「湿(snigidha)、冷(śīta)、重(guru)、遅(manda)、滑(slakṣṇa)、柔(mṛdu)、固(sthira)」です。
果物
Good!
- りんご
- ベリー類
- さくらんぼ
- マンゴー
- 桃
- なし
- 柿
- プルーン
Bad…
- バナナ
- ぶどう
- レモン
- メロン
- オレンジ
- パパイヤ
- パイナップル
野菜
Good!
- アスパラガス
- ブロッコリー
- キャベツ
- にんじん
- セロリ
- カリフラワー
- なす
- にんにく
- レタス
- マッシュルーム
- 玉ねぎ
- エンドウ豆
Bad…
- きゅうり
- サツマイモ
- トマト
- ズッキーニ
- 水分の多いもの
穀物
Good!
- 大麦
- とうもろこし
- 米
- ライ麦
- オート麦(乾燥)
Bad…
- 玄米
- 白米
- 小麦
動物性製品
Good!
- 鶏、七面鳥
- 卵
- ウサギ
- エビ
- 鹿
Bad…
- 牛
- 子羊
- 豚
- シーフード
豆類
Good!
- 赤いんげん大豆、レンズ豆以外
ナッツ
Bad…
- どの種類も良くない
甘味料
Good!
- 生の蜂蜜
乳製品
Good!
- ギー
- 山羊のミルク
脂肪
Good!
- アーモンド(少量)
- とうもろこし(少量)
- ひまわり(少量)
まとめ
以上はあくまでもガイドラインです。絶対に食べてはいけないということではありません。
アーユルヴェーダの目的は「人生を楽しみ尽くすこと」
そのためには無理をしないこと。つまり自分に非暴力であること。
ヴェーダの教えるサーマンニャダルマ(sāmanyaḥ dharma)ですね。
そしてドーシャを抑えようとして別の性質のものをたくさん食べればよいという訳でもありません。チャラカサンヒターには「適量を食すべきである」と書かれています。
消化の火をかきたてるもののなかでは消化力に応じた食物を摂ることが、気ままに楽しむべきことがらのなかでは、自分の性質にあった行動と食事をすることが、無病の原因のなかでは規則正しい食事を摂ることが、食物のいろいろな特性のなかでは満足感〔を与えるということ〕が、
(中略)
健康によいもののなかでは気持ちのおだやかさが、
(中略)
不死〔に導くもの〕のなかではアーユルヴェーダが、遵守すべきもののなかでは「正語」が、すべての悪事のなかでは嘘をつくことが、幸福のなかではすべてのものに無欲であること〔の幸福〕がもっとも顕著である。
矢野道雄編『インド医学概論』(チャラカサンヒター 第25章40節)
最後までお読みいただきありがとうございました。今日も皆様とヴェーダの教えをシェアできることを感謝いたします。
oṃ śāntiḥ śāntiḥ śāntiḥ